優秀な在宅ワーカーを募集したら5ヶ月で100人集まった話
世の中には、フルタイムで働けない優秀な人材がたくさんいるというので、募集してみたら実際にたくさんいた、という話を共有したい。
事業計画書の作成者を募集してみた
少し前から、顧客の事業計画書の作成工程に参加してくださる方を募集している。内容は、我々が中小企業経営者と相談して立てたざっくりとした戦略と投資計画を元に、事業計画書を作成するというものだ。
市場リサーチや競合比較はもちろん、技術の価値や、収益性、実現可能性について記述する。定量的な目標設定や、優位性・革新性などを明確にするなど、我々が設定する一定の水準を超える必要がある。
作成者には、雑多な情報をシンプルかつロジカルなものに組み立てる能力、マーケット情報収集・分析力、プレゼン能力が求められる。
この事業は新しく立ち上げたところなので、拡大にあたって、新たに人材を確保する必要があった。社内の人間で取り組む方法は、どうも上手くいきそうになかった。
本当に集まるのか?
一般企業に勤めていた人で、事業計画を立てるポジションにいた人はそう多くないように思う。さらに、詳細は伏せるが、我々の作成する事業計画は少し特殊だ。対象となる人材の母数は多くない。
また、残念ながら、うちには採用に機能するようなブランド力はない。平行してかけている既存事業の社員、パート募集については、数ヶ月で数人のみの応募。採用には至っていなかった。
そんな簡単に人が集まる気はしない。かと言って自社内にこの業務に対応できる人的リソースはない。正直、最初のうちは、ダメ元でもいいのでとりあえず募集してみようというスタンスだった。
仕事を求めている優秀な人材はたくさんいた
マニュアルやフォーマットを整備して分業化し、海外でも請け負ってもらえる体制を整え、募集をかけてみたところ、 なんと5ヶ月間の間に100件を超える応募があった。
応募者のキャリアは、中小企業診断士、戦略系またはIT系コンサルティングファーム出身者、MBAホルダー、元経産相キャリア官僚、上場企業で経営企画担当していたUSCPAホルダー、元上場企業の事業開発担当役員、途上国で活躍していた元開発コンサルタント、弁理士、元新聞記者などなど。
申し分ないキャリアの人々が並ぶ。というか、僕なんかが選んで恐縮しかない。提示した報酬が特別良いわけでもない。恐らく時間あたり1,000円~3,000円くらいではないだろうか。
なぜ優秀な人達がこんなに集まった?
我々は、顧客に価値のある仕事を提供する為、提携先の在宅ワーカーに対して、トレーニング期間を設け、蓄積したノウハウを惜しみなく提供する。そのノウハウ取得を目的として一回きりで縁が切れる方もいる。
また、スペックが高いからといって成果物のクオリティが高いとも限らない。受注したもののその難易度の高さに諦めてしまう方も意外と多かった。
クオリティの確保、調整やトレーニングにかかるコスト、秘密保持の観点からも、継続的に仕事を依頼できるかどうかはとても重要だ。こうした理由から、我々は作成能力はもちろん面談において応募者の動機を重要視している。
応募者に確認したところ、動機は主に次の3点に分類できそうだ。
- 副業として稼げそうな条件の仕事だから
- 中小企業のコンサルティングを手がける上でノウハウを習得したいから
- 結婚や田舎(または海外)への引っ越しにより、経験を活かせる仕事がない。
この内、我々がメインのターゲットとしているのは3のグループだ。実際に彼らは高いパフォーマンスを発揮してくださっている。
特に、子育て等ライフステージの変化から退職した方のキャリア断絶への危機感や仕事を求める気持ちは切実で、成長や成果に対する意識が高い方が多い。それぞれの事情に合わせて納期等につき事前にすり合わせを行う必要があるが、そのプロ意識の高さからフルリモートでも信頼して依頼することが出来ている。
結論:業務フローを見直せばチャンスはいっぱいある
クラウドソーシングは連絡がつかなくなる人や、やっつけ仕事しかしない人が多いのも事実だが、中にはしっかりとコミットしてくださる人もいる。
実際に我々は、高額でないがそれなりの報酬を設定し、簡単なペルソナを作り、募集を都度ブラッシュアップすることで優秀かつ誠実な人材を十分に確保することができた。
世の中、人手不足だというが、フルタイムで働けない優秀な人材は、実際にたくさんいる。時代やニーズに合わせて、業務そのものを組み替えれば、人材はまだまだ確保できる。